諸般の事情により、残念ながら、次の国会で裁判官訴追委員を辞任することになりました。

この任期中に弾劾裁判を経験することができたのは非常に良い経験でした。訴追委員として、弾劾裁判手続きの中で証拠の取調べなどを行うことができました。

日本国憲法が定められてから、罷免事件9件と資格回復事件6件しか判断されていない、非常に重たい仕事だと思います。

実は、訴追委員会は弾劾裁判の訴追を行う以外にも仕事があって、年間200件超の訴追請求について、審議の上、訴追不訴追の決定をする(大半が不訴追)ということの方が重要です。これこそが、まさに立法府による司法府に対する監視という役割を果たす非常に重要な仕事だと思います。

私は、調査小委員という立場を拝命しており、この訴追請求を受けた案件について、正式に委員会で意思決定をする前に、調査をして方向性を議論する立場にありましたので、立法府と司法府との関係性についてもかなり考える機会となりました。現状、裁判官弾劾法に定められている「弾劾事由」がかなり限定的に定められているので、立法府からの司法府に対する監視は非常に抑制的に行われていますが、訴追委員会における議論を通じて、司法府に対する民主的なコントロールの必要性と司法府の独立性という憲法概念の矛盾相克についてかなり真剣に考える機会となりました。

また、実際に裁判官訴追委員会という組織を運営するに当たり問題となる事務方スタッフの問題と制度の運営など、難しい問題も知ることができました。

政治や国会、というものは、政局的な話や選挙の話、わかりやすい対立政策の話までは取りざたされるけれども、憲法秩序の中で国権の最高機関として民主的な組織として機能している、行政や司法に対する監視監督を行うという制度的な意義が認識のベースにある議論というのはあんまりありません。しかし、このような重責を担うことで、自分自身が憲法秩序の中で果たすべき役割、ということなどを考えるいい機会になったと思います。

当選一回目にして、このような機会に恵まれたことを感謝したいと思います。

国会による指名人事なので、指名を受けるまでは明らかにできませんが、次の国会より、おそらくこれに代わる別の仕事を行うことになると思われます。