1期2年の任期中、私は、さまざまな政策提言や問題提起を行ってまいりました。

私自身、国会質問という機会を利用しながら政府に対して、課題を指摘し、そして修正すべき部分の提案を行う、ということに心がけ、76回の国会質問に臨んで参りました。

そのうちの一つが児童福祉政策、特に、社会的養護政策の改善です。

児童養護施設による施設内養護中心の実務から、特別養子縁組の活用といった養子縁組里親や養育里親などの家庭的環境における養護へのシフトを国政の立場から政策転換するよう、後押ししてきました。

昨日、一つ嬉しい話を伺いました。

従前、熊本市の児童相談所は、実親が赤ちゃんポストに子供を託しても、後で子供を引き取りたいと言ってくる可能性を考え、原則として特別養子縁組はしない方針で運用していたそうです(すなわち、お子さんは乳児院に預けられるという運用になります)。しかし、熊本市の児童相談所と赤ちゃんポストを運営する慈恵病院の話し合いにより、赤ちゃんポストを運営する慈恵病院において、「お父さん、お母さんへ」と題する手紙の中に『赤ちゃんをポストに預けた後、特に異議がなかった場合、子どもの幸せのために、原則として特別養子縁組したいと考えています』という内容を記載することで、原則として赤ちゃんポストに預けられた子供たちを児童養護施設ではなく、特別養子縁組を行うという運用に変更したそうです。

http://blogos.com/article/105905/

熊本市の児童相談所が運用を変更するに先立ち、この問題に取り組む団体の方から児童相談所の担当の方に対して、平成26年3月19日の法務委員会における私と谷垣法務大臣(当時)の議論の議事録を提示して、現在の政府側の民法817条の6の定める特別養子縁組に関する「実父母の同意」の要件についての考え方が説明されたそうです。

私からの提言は、赤ちゃんポストに預けられたお子さんのように、実父母の同意を取りづらい場合について特別養子縁組を活用するには、民法817条の6の特別養子縁組に関する「実父母の同意」の要件について例外的に不要とするべきであろう、と申し述べたわけです(下記議事録の青字部分)。

これに対する大臣からの答弁は、民法817条の6の但書の運用の問題であり、実父母の同意を取りづらい場合には実父母の同意不要という場面がある、という回答です(下記議事録の赤字部分)。

テクニカルですが、非常に重要なやり取りです。私自身の法務委員会の議論から児童相談所の運用が変更され、私自身の取り組みが少しでも社会的養護の運用の改善に貢献できたのであれば、非常に光栄です。

今後とも引き続き、頑張ってまいります。

以下に議事録を記載しておきます。40分の質疑なので非常に長文です。該当部分のやり取りは一番最後です。

________________________________________________________________________________

○江崎委員長 次に、椎名毅君。
○椎名委員 こんにちは。結いの党の椎名毅でございます。
 本日は、一般質疑、四十分時間をいただきましたことを感謝申し上げたいというふうに思います。
 まずもって、第一に、私、きょう喪章をつけているんですが、去る三月十五日に我が党の藤巻幸夫参議院議員が御逝去されたということで、日本をもっといい国にしていきたい、日本から世界に発信をしていきたいという強い熱い思いを持った議員であり、ビジネスマインドあふれる国会議員だったというふうに思っています。政治の世界に民間マインドを取り入れて改革をしていこうということを志向しているすばらしい議員だったと思いますが、志半ばで病に倒れてしまったことを本当に非常に悲しく思っております。彼の熱い思いと、日本をよくしていきたい、そういう思いを少しでも受け継いで、これから日本に少しでも貢献できるように私自身働き続けるという決意を新たにしたものでございます。
 さて、本題に入ります。
 きょうは、先日、経済財政諮問会議の二月の二十四日の「選択する未来」委員会というところで一つのシナリオが提示をされました。内閣府から「目指すべき日本の未来の姿について」という資料が出されて、それについての説明があったわけです。
 これを受けて、一部メディアで、政府も移民を二十万人受け入れるということについて検討を正式に始めたみたいな、先走り報道だと思いますが、そういった報道がなされて、人口減少というものについて問題意識を少し喚起するような報道なんかがあったかと思います。
 これに関連して、今後、日本の人口減を食いとめていく話の一つとして、大きく二つ取り上げさせていただきたいというふうに思っています。一つ目が、生まれてくる子供が種々の理由によって生まれることができない、または、生後または生後すぐに亡くなってしまうという状況を改善するために、社会的養護というテーマで一つ取り上げさせていただきたいという点が一点目。二点目が外国人の移民受け入れという点について伺いたいというふうに思っています。
 先ほど言及いたしました「選択する未来」委員会における提示された資料では、今後の日本について、人口シナリオやそれから経済成長シナリオといったシナリオを提示されているわけです。幾つかのあり得べきシナリオのもと、今後三十年、五十年、日本がどういうふうになっていくかということを見た上でこれからの政策を打っていく、そういう前提となる資料かなというふうに思っています。
 その中で、出生率と人口の話について言及がありましたけれども、仮に出生率が現状のままだとすると、二〇六〇年に人口が八千六百万人、さらにこの状況が続くと、人口が二一〇〇年には四千六百万人になってしまう、そういう話が書かれていたのと、それからあと、経済成長という意味でいうと、実質GDPの話、これについては、さまざまな前提条件のもとですけれども、経済の国際的な開放、それから女性登用、雇用制度が今と同じまま、さらには財政として消費税が一〇%のままという前提条件のもとで、数十年後に実質GDP三兆五千億ドル程度ということになるというような、そんな悲観的なシナリオが書かれていて、非常に困った事態だなというふうに思っています。
 だからこそ、人口をふやしていくということ、それから経済成長していくということが物すごく重要であるというふうに私自身は思っています。
 人口減少の中で、私自身、一つ社会的養護に注目しようと思った最大の要因は、妊娠中絶件数というものです。ちょっと今手元に正確な数字はないんですけれども、年間大体二十万件程度、人工妊娠中絶件数があるという話です。もちろん、中絶をされるにはそれなりに理由がある方も大勢いらっしゃるので、一概にこれが全て生まれてこなければならなかったことということではないかと思います。しかし、その中には、若年で育てられないから中絶をするとか、生活環境が悪いからとか、そういった理由で、あとは不倫の子だからという理由で中絶をしてしまうというようなことがあったりするわけですけれども、子供はやはり国の宝だということで、社会的養護を考えていかなければならないというふうに思っています。
 きょう、厚生労働省の参考人の方にもいらっしゃっていただきまして、ちょっと社会的養護についていろいろ議論をさせていただきたいと思っております。
 社会的養護というのは、一般的に定義をすると、保護者のいない児童、保護者に監護させることが適当でない児童について、公的責任で社会的に養育をし、保護することというふうに定義をできるのかなというふうに思いますけれども、この社会的養護の中でも、里親委託というものを典型的な例とする家庭環境での養育、家庭的養育と、児童養護施設それから乳児院といった、そういったところで育てる施設内養護、大きくこの二つの方向性があるというふうに思っています。
 これは国際比較したものがあるんですけれども、諸外国における里親等委託率の状況というのを見ると、日本が圧倒的に少なく見えますね。イギリスだと里親委託というものを選択するのが七一・七、オーストラリアだと九三・五、アメリカだと七七・〇、香港だと七九・八といった感じで、諸外国だと結構、里親委託と施設内養護という意味でいうと、里親委託、家庭的な環境によって子供を社会的に養護していくという発想が多いというふうに思っています。その中で、日本は一二%というふうに書いています。平成二十四年末の新しいデータだと、里親等委託率というのは一四・八%ということで、やはり少ないのではないかなというふうに思っております。
 そういった観点から、この里親委託というところについて、より重要度を上げて考えていくべきではないかなというふうに思っているんですけれども、しかし、日本の現行の制度において少し軽く扱われているような気がしますが、厚生労働省の御所見をいただければというふうに思います。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生からも御指摘ございましたように、里親制度は、保護者のない子供、虐待を受けた子供が家庭的な環境できめ細かなケアを受けることができる、こういうことでございまして、厚生労働省としても、これは積極的に進めたいと思っております。
 平成二十三年七月に、「社会的養護の課題と将来像」というものを示しましたけれども、その中で、今後里親などへの委託率を全体の中で三分の一に引き上げていくということを示して、目標としているところでございます。
 具体的な施策といたしましては、まず、引き受けていただける里親さんを開拓しなければいけない。そして支援をする。里親さんはいろいろ御負担がありますので、決して孤立化することがないようにしていくというのが有効な施策だろうと思っております。そのために、従来から、里親制度の普及促進、それから地域の里親会によります相互交流の取り組み、こういったものへの支援を行っております。
 それから、児童養護施設は専門家の集まりでございますので、ここで、里親の支援を専門的に行うような相談員の配置、これを開始いたしております。
 それから、御案内のように、二十七年四月からは子ども・子育ての新制度がスタートいたします。都道府県が事業計画をつくりますけれども、その中では、里親への委託率の目標を定めていただいて、事業計画にきちんと位置づけていただく、こういうことも考えてございます。
 あわせまして、消費税の財源が子ども・子育てに充たりますけれども、その中で、先ほど申しました里親支援の担当職員、これを段階的に全施設に配置していけるように、そういった財源の配分もしたいというふうに現在取り組みを進めているところでございます。
○椎名委員 ありがとうございます。
 非常に心強い部分はあるんですけれども、それでもやはりまだ目標が三分の一ということで、全体の三三%ということなんだと思います。しかし、先ほどちょっと指摘しましたけれども、国際的に見ると、三分の一というのも、ほかの国、ほかの先進諸国を見ると、そこまで多いわけではなさそうだなというふうに思うわけでございます。施設の中で養護していくというのがどうしても原則化しているように思いますけれども、先ほど参考人の方もおっしゃっていただきましたけれども、子供である以上、家庭的な環境で育つということがやはり一番望ましいわけですね。
 私自身も、地元、川崎市内の愛児園と呼ばれる児童養護施設なんかも定期的に訪問させていただいて、実際どういう環境にあるのかみたいな話も見たり聞いたりしているわけですけれども、やはり、こういった環境にいるよりも、いわゆる里親という形で家庭的な環境で過ごしていくということの方が、教育という意味でも、それから福祉という意味でも、より効果が発するのではないかというふうに私自身も常に感じさせていただいております。
 しかし、全体の三分の一をとりあえずの目標とするということであるということは、逆に言うと、三分の二は施設で、専門家のもとで育てていくということが原則になっているのかなというふうに思います。
 さまざまなケースが考えられますけれども、施設において児童を養護していくという基本的なスタンスの背景にある考え方というか、それはどういう理由に基づいているのかというところについて教えていただければというふうに思います。
○鈴木政府参考人 今実態として確かに施設にウエートが置かれてございますけれども、これは、そういった方針で取り組んでいるといいますよりは、なかなか里親になっていただき手がいないということが一番大きいと思っております。
 ちなみに、二歳未満の新生児等が新たに児童相談所からいろいろな理由で里親に措置をされる、あるいは施設に措置をされるということでございますけれども、その比率で申しましても、里親には一五%しか行っていない、残りは乳児院ということでございます。
 これはやはり里親の認知度がまだまだ日本の社会は低いということ、それから、それを背景としまして、なかなか新規に引き受けていただける里親さんが出てこないということ、それからもう一つは、実際に出てまいりましても、里親さんの希望する条件と子供側の条件が必ずしも合致しないといったような、さまざまな原因があるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、先生御指摘のように、家庭的環境という意味でこれは好ましい制度でございますので、いろいろと努力をしてまいりたいと思っております。
○椎名委員 ありがとうございます。
 里親というシステムというか、里親委託という制度そのものの認知度という意味でいうと、福岡市なんかの取り組みで、要するに、民間の方々を使って宣伝して、こういう制度がありますということで普及活動をしていくということで里親委託率が上がったという例もあるやには聞いておりますので、そういった努力を続けていただくということなのかなというふうには思います。
 先ほどおっしゃっていた、子供側のニーズと、親側というか、里親になりたい方々のニーズとがマッチングしないという話でした。後で触れようかと思っていましたが、いわゆる愛知方式というものを進めている方の一人で、矢満田さんという方に一度お会いをしたことがあるんです。その方がおっしゃっていたところによると、要は、親側というか、愛知方式については、正確に言うと里親ではなくて養子なんですけれども、養子を受け入れようとする人たちが、子供に対して選択権を持たないという覚悟を持つことが重要だというふうにおっしゃっていたんですね。
 自分で子供を産む、自分の子供が生まれるときに、子供が障害児だろうが、知的障害を持っているか、それとも男か女かというところについては基本的に選択ができないはずだということをおっしゃっていて、それと同じように、養親になるというのはそれだけの覚悟が必要であるということもおっしゃっていて、非常にハードルが高いなと思いながらも、それはそれで必要なことだったりもするなと思って、いろいろ悩ましいところではあるというふうに思っています。
 なので、必ずしも状況がマッチングしないからといって里親委託というものが成立しないわけではなくて、違った考え方に基づいてやっていらっしゃる方もいるということは、ああ、そうなのかなというふうに思っています。
 先ほど、今後、厚生労働省の方でもより里親委託を進めていきたいというふうにおっしゃっておりましたけれども、改善点というか、要するに、施設内養護というところと里親委託というところでいうと、里親委託をすることによって施設内養護の何を改善していかなきゃいけないのかという課題なんですけれども、どういった課題があって、実務上、今現在問題となっている課題というのを解決していきたいというふうにお考えでしょうか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 里親は里親として推進をしていく。それから、やはり養護施設の側にも相当程度預かっていただかなければいけないお子さんがいらっしゃいます。養護施設の方では、できるだけこれもまた家庭的環境で子供に育ってもらうということから、いろいろな小規模化を進めたいと思っております。
 大きな部屋でみんながいわゆる雑魚寝をするというのではなくて、なるべく小さな部屋あるいはグループホームの形式で、できれば家庭的な環境に即したような形で、施設であってもそういったような、例えば改修も含めて国が支援することによって家庭的な育ちをやっていただける、この環境整備を進めたいというふうに思っているところでございます。
○椎名委員 ありがとうございます。
 仮に三分の一まで里親委託というのが進んだとしても、残りの三分の二はおっしゃるとおり施設の中で行われるわけですから、施設の中の改善というのも必要ですけれども、施設の中で、施設養護という意味でいうと、最大の問題は、家庭的環境というもの、疑似家庭をつくるわけですけれども、どんなに小規模化して家庭のような環境をつくったとしても、やはり面倒を見る方は職員なんですね。お仕事である以上、お休みも必要ですし、自分の家庭も必要なので、当然、御自宅に帰るわけですよね。御自宅に帰って家庭生活を送るということで、ここが一番難しい問題なのではないかなというふうに思っています。
 そういう意味でいうと、入れかわり立ちかわりで面倒を見なければならないという疑似家庭の限界というのがあると私自身は思っています。そういった観点からも、やはり里親という形により移行していくということが重要ではなかろうかというふうに私自身は思っています。
 次に行きます。
 里親というものも、厳密に言うと、幾つか里親にも内容がありまして、里親というのは、養育里親とか専門里親とか養子縁組里親、親族里親とか、幾つか類型があるわけですけれども、里親によって受けられる中の養子になる人というのは実は非常に限定的な数です。
 ちなみに、社会的養護を必要とする対象児童が大体四万六千人ぐらいなんですけれども、現在里親に委託されている児童数が四千五百七十八人ということで、そのうちのさらに養子縁組という意味でいうと二百十三人ということで、非常に少ないというふうに思っていますが、家庭的な環境にいられない、保護者のいない児童や保護者に監護させることが適当でない、こういった要保護児童について養子縁組を進めていくということも一つ考えていかなければならないかというふうに思います。
 養子縁組を進めるに当たって、こういった児童相談所等を通じた社会的養護の措置としての里親委託の一部としての養子縁組と、それ以外に、民間企業というか民間のNPOなんかを通じて行われる養子縁組あっせんというものが存在しているかと思います。特に、養子という意味でいうと、特別養子と普通養子があるわけですけれども、特に乳児の段階で養子縁組あっせんをするという意味でいうと、特別養子縁組あっせんを進めるということはより望ましいのではないかというふうに私自身は思っています。
 具体的には、新生児として生まれたお子さんのうち児童虐待で死んでしまうお子さん、特に、そのうちのゼロ歳、ゼロカ月、一日というところで亡くなってしまうお子さんたちというのが結構な数いるわけでございます。こういった非常に短期間で虐待死してしまう児童というのは、要は、親が面倒を見切れないから、生まれた直後に嬰児殺という形で殺してしまう、そういう例が大半だというふうに思います。
 これがまさに、一番最初に私自身が申し上げた、経済的理由だったり不倫だったりみたいな理由で育てることができないようなお子さんであっても、気づいたときには既に妊娠中絶をできなかったような方々、そういうお子さんについて、こういった事例があるんだというふうに思っています。
 それに加えて、生まれる前に、育てることができないという理由で中絶をしている事例というのもやはり多いわけでございまして、こういった児童虐待だったり妊娠中絶だったりみたいな件数を、新生児における特別養子縁組あっせんをやることによって救済していって減らしていくということができるんじゃないかというふうに私自身は思っていますけれども、これを進めていくということについて御所見というものをいただければというふうに思います。
○鈴木政府参考人 確かに、乳児の虐待による死亡事例を見てみますと、これはやはり望まない妊娠によるものではないかと思われる事例が多い。その中で、特に、関係機関が関与する機会がなかったり、あるいは、そういう機会が極めて少ない、それによって虐待、死亡につながっているというような事例が多うございます。したがいまして、まずは、妊娠について相談しやすい体制でございますとか、あるいは、相談窓口で支援が必要な方を見逃さない体制、これをきちんとつくっていくということが重要であると思っております。
 その上で、先生御指摘の養子縁組でございますけれども、特別養子縁組あっせんにつきましても、養子縁組のあっせんをすると同時に、それを捉えまして、例えば経済面あるいは育児面、いろいろな悩み、不安を抱えている方がいらっしゃいますので、それに対するさまざまな公的な支援とか、あるいはいろいろな社会的養護の制度、こういったものをあわせて御紹介しながらあっせんを行う。こういうことによって、まさにこういった虐待死のようなものを防ぐ効果があるのではないかというふうに我々も思っているところでございます。
○椎名委員 ありがとうございます。
 今おっしゃっていただいたように、窓口業務というか相談業務というか、そういったものが重要であるというのは、それは本当にそうかなというふうに思っております。
 昨今、養子縁組あっせん業者という方々が多額の報酬に似たような金銭を受領しているんじゃないかとか、こういった事例を捉えて、子供に命の値段をつけているんじゃないかみたいな、そういう倫理的な理由で批判をしている事案というのが結構あるように私自身は思っていますが、今おっしゃっていただいたように、適切に相談業務というかコンサルティング業務みたいなものを望まない妊娠をした方々に持っていき、かつ、養子縁組あっせんなりをして、子供を救ってあげた上で、その子供に将来、幸せな人生を送っていただく道筋をつけてあげるという意味でいうと、非常に役に立つものだというふうに思います。
 それを、ともするとヒステリックな批判みたいなこともあったりはしますけれども、そういった倫理的な理由だけで批判をし、たたいて、かえってそれを阻害していくような、さらに言うと、団体の中で活動することが難しくなるような状況をつくっていくことはかえって望ましくないんじゃないかというふうに私自身は思っています。
 そういった意味で、今現在、第二種社会福祉事業者として、登録事業者としてやっているんだというふうに思いますけれども、こういった事業者について、改めて何かしらの規制をし、何かしらの規制をしというのは厳しくするという意味ではないんですけれども、規制をし、ルール化をすることによって、かえって透明性を高め、役に立つ部分だけをうまく取り出せるような形でルールづくりをしていくということが必要ではなかろうかなというふうに思っています。
 さらには、将来的に、今の政府の目標でいうと、里親ないし、里親というか家族的養護というものを少なくとも三分の一ぐらいまでは持っていきたいという話ですから、そういう意味でいうと、逆に言うと、施設に対する国の投資というのは将来的に減っていっても構わないはずのものなので、お金のつけかえと公的支援という意味でいうと、あっせん業者に支援をするだったり、養子としてもらう養親に支援をするとか、さまざまなやり方があるのではないかというふうに思いますけれども、厚生労働省の御所見をいただければというふうに思います。
○鈴木政府参考人 民間の養子縁組のあっせん事業者でございますけれども、先生御指摘のとおり、私どもも、事業運営の透明化、適正化を図ることというのは一つの課題だと思っております。
 それに合わせまして、こういったあっせん事業者が実際に児童や実親、養い親にいろいろな支援をしておりますので、その支援の質の向上を図ること、この二つが課題かなというふうに思っております。
 現在、事業者に対する指導に係る通知の見直しを検討中でございまして、その中では、一点目といたしまして、事業運営の透明性を確保していかなければならない。そのために、例えば外形的に営利目的が疑われるような事業運営を禁止することや、養い親の希望者から金品を徴収するといった場合のルールの明確化を図っていかなければならないと思っております。
 それから二点目といたしまして、先ほどの質の向上という意味で申しますと、支援の適切性を担保するという観点から、やはり実親に対する養子縁組の同意を強制するといったようなことは禁止しなければならないと思っておりますし、それから、あっせん事業を廃止した後に、文書を的確に残して引き継いでいきませんと、どのお子さんがどういうふうな形で養子縁組でその行く末を別の御家庭に任せることになったか、このあたりがわからなくなってしまいますので、そういったものの適正化、こういったものも図ってまいらなければならないと思っております。
 その上で、こういった養子縁組のあっせん事業者にどういうような公的な支援をしていくかということは、このあたりルールの透明化、整理をした上で、また検討してまいりたいというふうに思っております。
○椎名委員 ありがとうございます。
 お金づけの話という、支援の話というのは、確かに、まだ現状、ルールがない中で手探りでやっているというので、恐らくそれは大分遠い先の課題になるだろうというのはおっしゃるとおりですけれども。
 まず、今現状、私自身の感覚的な話で恐縮ですけれども、児童養護施設の面倒を見るところというのは、基本的に都道府県か政令市なわけですね。そうである以上、そこにお任せをするということで、なかなか厚生労働省が踏み込んでいないんじゃないかなという感覚をちょっと持ち合わせていて、だからこそ、私自身は、立法によって質の向上と透明性を高めるというところについて、ぜひともルール化をした方がいいということを申し述べさせていただいているわけです。
 第二種社会福祉事業者である以上、一応、営利目的で行うことというのは法的には禁止されているわけですけれども、先ほどおっしゃっていたように、事実上金品をもらっているわけですね。手数料という名前だったり、寄附金という名前だったり、さまざまな形でお金はもらっているわけですね。
 それが百万とか二百万とかになると、その子供の値段は二百万なのかみたいな、それは高過ぎるんじゃないかみたいな、どうしてもそういう話になってしまう。しかし他方で、団体の中で、それを仕事として従事をしている方々がいるので、そういった人たちの運営費だったり、経費だったり、人件費だったりは当然賄わなきゃいけないわけですので、やはりそういう意味で、一定程度規制のかかった業種として明確に法律に定めていくことが私は望ましいというふうに思います。
 先ほど厚生労働省の参考人の方におっしゃっていただいたような、方向性という意味では、私自身はすばらしい方向性だなというふうに思っておりますので、ぜひ御検討をいただきたいというふうに思います。
 済みません。法務委員会なのに、厚生労働省とばかりお話ししていましたけれども、次に大臣にお話を伺いたいと思います。
 今まで話をしてきたのは、全て養子というシステムそのものに対する入り口のお話でございます。特別養子縁組というのは昭和六十二年に導入されたということであり、そのさらに前提となる、問題提起をされた菊田医師という医師が行った事件により問題が喚起されてつくられたものです。
 特別養子縁組になると、結局、実親との関係が切れます。養親との関係が直接の親子関係になりますということだったというふうに思っています。それは事実としてそうなんだと思うんですけれども、しかし、現実、例えば戸籍を見てみると、特別養子縁組の戸籍というのは、記録には一定程度残って、見えるようになっているわけですね。
 明確なルールというか、順で言うと、一応、戸籍法の二十条の三というところで、一番最初に、実親のところから子供さんが独立して単独戸籍をつくり、その後、戸籍法の十八条三項というところに基づいて養親の戸籍の中に入るという手続、こういう手続が入る。何か二段の手続になるようです。
 その結果として、一応、でき上がった特別養子縁組の戸籍の中では、実親の名前は見えないけれども、特別養子縁組であることまでは一定程度明確化されている。具体的には何かというと、民法八百十七条の二による裁判確定日と書いてあって、要するに、特別養子縁組は裁判によって確定して決めなければならないことなので、こういったことで、さらには、届け出日、届け出人、そして従前の戸籍といったものが記録に残るわけですね。記録に残るというか、戸籍謄本をとると表に見えるわけです。
 そこで、法務省に伺いたいんですが、今の日本の社会で、養子という属性にいる方々が、やい、おまえはもらわれ子だとか、橋の下で捨てられてきた子だといっていじめられるという事例がやはりないわけではないんだろうというふうに思っています。そういった意味で、戸籍謄本の表に、養子であることが、特に特別養子という意味ですけれども、特別養子縁組について、その特別養子であることが明確化される必要性まではないんじゃないかなというふうに思うんです。
 これを、例えば、戸籍の付票とかに落として、一見見えないようにしつつ、記録にはとどめておくという対応ができないのかというふうに私自身は思うんですけれども、ぜひ法務省の御見解をいただければというふうに思います。
○深山政府参考人 今委員が御説明になったとおり、戸籍の取り扱いは、特別養子縁組の審判が確定しますと、まず新戸籍がつくられ、その新戸籍から養親の戸籍の中に養子が入ります。そのときの身分事項欄の書き方も、民法八百十七条の二という項目を設けて、八百十七条の二による裁判確定日という日が書かれ、新戸籍が従前戸籍であるということも書かれる。
 これは、この記載によって確かに特別養子縁組の成立を公証しております。養子はもとの戸籍をたどれるようになっているわけです。ただ、この書き方は、養子が未成熟な間、子供の間は、仮にこれを目にしても容易に特別養子縁組があったということがわからないように、わざわざ民法の条文だけを掲げるというふうにして記載に配慮しているものでございます。
 議員の御指摘は、さらにこれをもう一歩進めて、見られないように、戸籍を見てもわからないようにしたらどうかということなんですが、ただ、これを戸籍の記載そのものから除いちゃったり、あるいは特殊な記載方法にして当事者からもわからないようにするというような措置をとることにつきましては、まず、そもそも論として、戸籍の記載というのは、真正な身分変動は登録、公証するという、そもそもの戸籍の本質的な機能との関係で記載事項から削ってしまうというわけにはいかないということがあります。
 また、特別養子の実方の親族との間で近親婚が生ずるおそれがある。実際には妹、血縁上の妹かもしれないというようなことがあり得ます。そういうときに、特別養子の御本人がそういう疑いを持ったときに調べようと思っても、その記載がないとか見られないということになると調べようがないという問題もございます。
 さらに、これは特殊な場合なんですが、非本籍地の市区町村に婚姻届が提出された場合に、近親婚か否かの審査を今していますけれども、それが非本籍地なものですからわからない、役所の側もわからないということで、婚姻要件を満たさない婚姻届を受理してしまうおそれも例外的にはあり得ると思います。
 今申し上げたさまざまなことを考えると、こういった制度の見直しはなかなか難しいというのが実情でございます。
○椎名委員 いや、おっしゃっていることの意味は理解はします。近親婚を禁止するというような目的が大事である、さらに言うと、特別養子縁組になる直前に、例えば実親との関係で相続関係が起きる可能性というのも恐らくゼロではないので、そういったことを考えると、本当に記録をトレースできることというのが物すごく重要であるというのは、そこはもう完全に同意はします。
 しかし、やはり、今局長が、子供が幼いころはわからないようには配慮されているとおっしゃっていますけれども、今の時代、グーグルで検索するとわかるわけですよ。民法八百十七条の二と検索すると、それが特別養子縁組であるというのは、普通にグーグルで検索すると一秒もかからず出てきちゃうわけですね。それは今の時代にはなかなか合わないというのが正直なところでして、私自身は、ぜひ、総務省と御協力の上、付票に落とすということも検討していただきたいなというふうに思っています。
 付票というのは、実は住民基本台帳法に基づくものでして、戸籍であるにもかかわらず住民基本台帳法に基づくものなので、所管は総務省なんですけれども、ぜひ法務省と総務省で協議をして何か御検討いただきたいなというのが、私自身の希望として、ちょっと申し述べておきます。
 本当は外国人の話をしようと思っていたんですけれども、済みません、大臣、一番最後になってしまって恐縮ですけれども。
 今るる申し上げてきた中で、やはり特別養子縁組を進めていくということはそれなりに意義があるというふうに私自身は思っていますけれども、そういった中で、制度という意味で、少し難しいというか、なかなか難しいところがやはりあるわけですね。
 特別養子縁組については、原則として、実親の父母の同意が必要であるとか、父母による養子となる者の監護が著しく困難であるとか、その他特別の事情があるとか、それから年齢制限として養子になる子は六歳未満とか、いろいろあるわけですね。
 でも、例えば、いわゆる赤ちゃんポストみたいなところに置かれている子とかについては、やはり両親不明みたいなこともあるわけですね。要保護事例であることは間違いないので、そういった子たちを救ってあげるという意味でも、なかなか難しいとは思いますけれども、こういったものに例外を設けて、養子縁組、特別養子縁組も進めていくということもできないかなというふうに思うんですけれども、今までの議論を聞いた上での所感を含めて、大臣の御所見をいただけると大変幸いでございます。
○谷垣国務大臣 やはり過去の事例から見まして、特別養子縁組を活用しなきゃならない場合というのはあるんだと思うんです。
 ただ、委員がおっしゃったように、これは子供の利益のために、養子縁組成立の日から実親との関係は一応切ってしまうということですから、そういう前提のもとに幾つか要件があるわけですね。それは、さっきおっしゃったように、養子となる者の年齢が原則として六歳未満である、それから原則として父母の同意があること、子の利益のために特に必要があることといった要件を一応要求している。
 しかし、例外も設けられております。赤ちゃんポストのような場合だと、父母は明らかに意思を表示することができないような場合ですから、その場合には子の父母の同意は不必要である。それから、子の利益のための特別な必要性の要件を判断する場合にも両親が知れないという事情は当然考慮されることになりますので、私も、隅々まで考えたわけではありませんが、かなりの部分がそういう例外によってカバーできるんじゃないかというふうに思っております。

○椎名委員 どうもありがとうございます。
 実務的な運用という面の話だというふうにおっしゃっていただきました。
 条文を読めば、実務的な運用というところでできなくはないのかなというふうには思うんですけれども、他方で、現実に、特別養子縁組というのが実は年間三百件とかそのぐらいなわけですね。決して多くはないわけでして、その制度自体の認知度が低いということもそうなのかもしれないんですけれども、やはり、こういった実務に携わっている人たちを含めて、使い勝手が悪いというふうに思っているからというところも考えられるのかなというふうに思っています。
 そういった意味で、今現状のものでも大丈夫ということよりかは、新しく一つ特例法みたいなものを設けると、打ち出し方としてはよりきれいに見えてくる部分もあるかと思いますので、そういったことも今後検討していったらいいのかなというふうに思っています。
 時間が来ましたので、外国人労働者の話と移民の話がちょっとできませんでしたけれども、結構重要な問題だと思っていますので、この養子縁組の問題についても、私自身、引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。本日はどうもありがとうございます